二声のインヴェンションについて

二声のインヴェンションはバッハの子どもたちや
弟子たちの練習曲として書かれたものです。
ただ、19世紀以降の練習曲と違って、単に機械的な指の練習曲ではありません。
音楽的にみても大変美しい芸術的な曲ばかりです。
しかも、それぞれの曲で、学ぶべき内容が明確になっています。
今日でも、ピアノを学ぶ人は必ずと言ってもいいほど、弾くと思います。
私も例にもれず弾いていました。
大変難しかったのですが、とても大好きで大人になってからも、
二声のインヴェンションと三声のインヴェンションだけは、
毎日弾かなくては、気持ちがおさまりませんでした。

No.9 ヘ短調について

No.5の変ホ長調と同じようにかなり密度の高い様式で作られています。
ただ、フーガ形式よりは自由に作曲されています。
バッハの作品の中でヘ短調という調性は受難曲的な色彩が強く現れるようです。
三声のインベンションや平均率クラヴィーア第一巻などの同じ調の曲など
とても良い例だと思います。
この曲も同様に曲全体に苦悩と情熱を秘めた美しい旋律が現れます。
 


inventio
(第1曲三連音符を主にした自筆譜)

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