銀河鉄道上信999の製作

                  縮尺 1/11  5吋ゲージ

 

 上信鉄道沿線市町村連絡協議会では、人気の高い銀河鉄道999をデザインした列車を走らせようと、実行委員会を結成したのはこの4月。多くの人達の浄財と、原作者松本零士先生の絶大なご援助により、去る1019日午前9時、上信高崎本社より、下仁田に向かって、最初の列車がスタートしました。沿線住民と関係者が、これほど早く実現するとは、正に感無量、落涙の思いでした。たくさんの協賛して頂いた方々、本当に有難うございました。

 この、上信999の運用は3ヵ年、一日2〜3往復、三年後には、折角のこのデザインは剥離されることになる。そこで、この素晴らしい英姿を、何時までも残そうということで、5吋ゲージのレプリカを製作することになった。発想は、「銀河鉄道999号を走らせよう」実行委員会委員長大日方康博氏。氏の委嘱を受けたのは6月下旬。10月中旬の開通迄の完成を目指すことになった。幸いに必要な細部写真は、常時上信本社から送付頂けるので、あとは当方の技量ひとつと言うことになりますか。外装は実機と同じラッピング塗装、この仕上げが、大きな魅力となって製作意欲を盛り上げ、引き受けたような次第。

 

 設計から完成まで

縮尺

原型は西武鉄道のクモハ500、2両編成のワンマンカーに改修したもの。 材料、管理、輸送等の条件から全長を1800mmに抑え、1/11 5吋ゲージとする。

ボデイ

 2t アルミをプレス加工するが、下端に組み立て用の15mmアングルに曲げておく。表面はネジ頭、リベット、突起物等、最少限度に押さえ、ラッピング第一とする。従って窓枠、ドア等取り付けは、人物像にかかわる場所以外は、ラッピング後とし、接着剤、両面テープ等を使用して組み立てる。透明エンビ板の取り付けは、最終作業となる。

    

ドア、窓枠

 3mmベーク板を切り抜き、裏面より嵌め込み、接着する。部品数50枚(二両分)

屋根板

1800x250x18t 集成材を使用。両側に40mm幅の同材を接着して、厚さを出すと共に、屋根裏中央のくぼみを作る。また前面接合部のカーブは、木材使用により、パテを併用して、整形が、容易である。(右写真は断面)。

客室天井のデザイン

 

このイラストは、上信デキ1の記念運行に際し、デキの車体にデザインするため、デキを愛する会に贈られたものです。デキ1の運行は、一昨年迄続けられてきましたが、毎回お贈り戴きました。また開通当日、ご臨席戴いた先生には、フアンと共にご乗車され、この天井イラストに、サインをして下さいました。

 

屋根上構造物

 模型では上から見る事が、圧倒的に多く、目立つ所なので、丁寧な仕上げが必要である。

リアルにとらわれ、沢山の構造物をとりつけると、かえって、わずらわしくなって、好ましくない。本機では、パンタと、ベンチレーター、歩み板に部品を絞って、シンプルな構造とした。

 

 

内 装 

 外装のラッピングが製作の重点であったので、製作過程で広い空間の客室にも、なにかセットしようという事になり、客席を設けることになった。窓越しに見るので、余り手をかけず、模型の本領を発揮して、それらしく製作する事になった。発泡スチロールに筋目を付けた簡単な長椅子である。運転席も同材料で取り付ける。

502 は、片側のみ、つり環25名分装着済み。

 

 

 

床下器具

 屋根上と異なり、模型では目に付かない所である。連結器と台車側面に気を配って製作すれば良い部分でもある。大きなバッテリーケースは、電気周りのスイッチボックスには、好都合である。ヘットライト、信号灯関係(電池内臓)と、動力コントローラー関係に、2個使用している。その他は、下図写真のそれらしきものを、付ける事にした。左下は、灯火関係のスイッチボックス。輸送に際して、この部分はとかく傷つく事が多く、その対策として、角ボックスを強化して、この面を接点とするよう取り付けた。また他の部品の高さを、これより低く設定しておくと安全である。

 

 

 

 

   

 

連結器は、OS製のものを、改造して使用する。二両の連結部は、自動と、固定を併用して、着脱を容易にする。幌の着脱は、その接合面にマグネットシートを貼付して使用すると、簡単で容易な操作ができる。

 幌の製作は、誠文堂新光社1953年版、鉄道模型の作り方に、紹介された事があった。紙を折ったHOゲージでの記事である。小さな幌を、よく作ったものだと感心したが、5吋ゲージでは、簡単なこと。ついでの事ながら、ベンチレーターのファンも、既にHOでは電動化済、何れ本機でも取り付けたいと思うが。物好きなことです。

 

 

 

 二両連結した場合、車体後部は見えにくいので、プレスしたまま、この穴は、屋根板の取り外しに、大きく役たつ空間となった。

*イラストは全て松本零士先生の著作ですので、使用等はご遠慮ください。

 

 台 車

 動力車は一台のみ。繋引しないで、エンドレスレールを自走するのみ、という目的から、モーターは、12V,30W2個搭載 減速比1:4 トラック用ファンモーターの中古使用。

 大きなエアばねは、コイルばねを入れて、可動させる。取り付け部品は最小限度とした。

 

 

 

 

本機の諸元

 

*全長  1800mm  重量 (501)24k  (502)20k

 全幅   255mm  全高460mm(パンタを含む)  縮尺 1/11   5吋ゲージ

参考資料

 

 

 

松本零士先生の原画をデザインして、ラッピングに仕上げたのは、矢嶋真平氏(スタイル社代表、高崎市上大類町728)である。写真左は、側板、右は天井のラップ作業中のスナップ。工作の不手際を、ラップで補って頂き、感謝にたえない。巻頭の写真モデルは、矢島氏の素晴らしい作品とも申せましょう。

 

 

 

設計製作協力 N-TOSCH
写真を基に図面に重ねて板金寸法を決めます。(図面提供、上信電鉄株式会社)